家づくり5 全館空調を選ぶポイント

東北地方の冬、高齢者にとってヒートショックは大敵のひとつ。以前住んでいた築30年の鉄骨造の家では、リビング内はストーブを1日中焚いてぽかぽかですが、部屋から一歩出るととても寒く、さらにトイレや風呂場は一段と寒くなります。身体に悪いとは思っていましたが、昔はもっと寒かった。学生時代は湯沸かし器がありませんでした。朝、起きると、まずはやかんでお湯を沸かし、そのお湯を洗面器にためた冷水に少しずつ混ぜながらぬるま湯をつくり、最小限の湯量で顔を洗い歯磨きをしていました。今ではとても考えられない環境でした。

新築であれば、家の中は全室、暖かい方がいい、そう思って全館空調を目指したものの、各住宅メーカーでその様式はさまざま。そこで、北東北での話になりますが、参考までに選ぶポイントを簡単にまとめてみました。

東北・盛岡のような寒冷地では、全館空調の性能は住宅本体の性能と一体で考えることが不可欠です。ポイントは5つ。
① 高気密・高断熱性能が大前提
全館空調がどれほど優れたシステムでも、住宅の断熱・気密性能が低ければ効果を発揮できません。UA値0.3W/㎡K以下、C値1.0㎠/㎡以下を目安に、東北の寒冷地仕様に精通したメーカーや工務店を選ぶことが基本になります。UA値、C値は各地で指定されています。詳細は営業マンに解説してもらった方がよいと思います。説明が分かりにくい場合は子供や親戚の助けを借りましょう。これまでに建てた家の実測値のデータを見せてくれます。

② 換気方式は第一種全熱交換換気を選ぶ
東北の厳冬期に外気をそのまま室内に取り込むと暖房効率が大幅に低下します。熱交換効率80%以上の第一種全熱交換換気システムを採用しているか、信頼できるメーカーのシステムか、確認しましょう。

③ 空調方式の特性とコストを比較する
住宅メーカーの差別化は空調方式によるところが大。全館空調には、専用システムによる天井ダクト吹き出し型から、市販のエアコンとダクト・送風機を組み合わせた比較的低コストな方式まで様々あります。初期費用だけでなく、10〜15年後の機器交換費用やランニングコストも含めて総合的に比較することが重要です。どの方式が自分の予算やライフスタイルに合うか、選別後、複数のメーカーに見積もりを依頼しましょう。高齢者であれば2階は要らないし、バリアフリーを考える必要があります。面倒でも興味あるメーカーの内覧会には出かけて実物を見て判断すべきと思います。

④ 長期メンテナンス体制を確認する
全館空調はダクトや送風機・熱交換ユニットの定期点検・清掃が欠かせません。実際には3か月〜半年に一度のペースで自分で清掃することになります。高齢になると、天井裏や床下を覗きこむのは苦労するかもしれません。定期的な有料サービスがあると思いますが、できるだけ簡便な方式を選んだ方がよいと思います。ダクト内の結露やカビ発生リスクへの対策、交換部品の入手しやすさ、アフターサービスの窓口が明確かどうかを確認しましょう。

⑤ 地域の寒冷地仕様に精通したメーカーを選ぶ
東北で長年実績を積んだ地元メーカー・工務店は、この地域の気候風土に合った設計ノウハウと施工実績を持っています。内覧会や宿泊体験を活用しましょう。宿泊体験ではなくても1時間弱の見学でおおまかな雰囲気はわかると思います。うちは愛犬がいたし、感染症も流行っていたので、宿泊体験には申し込みませんでした。

まとめ
東北地方で全館空調は、以下の3つの組み合わせによって各住宅メーカーの特徴が浮き彫りになります。まず、お住まいの地域に適した高断熱・高気密な躯体性能が実測値として提供してもらえること、これにより小さなエネルギーで家中を一定温度に保てる前提が整います。次に、熱交換型換気システム(第1種換気)。排気の際に捨てていた「熱」を回収して外気を温めてから給気することで、換気による熱損失を最小限に抑えることができます。製造メーカーの違いに注意してメインテナンスや部品もチェックしましょう。そして、空気の搬送経路。各住宅メーカーでいろいろな方法を採用しています。ダクトや送風ファン、1畳程度のエアコン室とするか、床下・小屋裏エアコンか、この点は暖気・冷気が各部屋に届く環境を実際に肌で感じないとなんともいえません。どの方式がよいかは個人差、家族差しだいだと思います。この搬送設計の巧拙が、快適さとランニングコストを左右するので、少しだけ勉強が必要かと思います。東北の厳しい冬、そして蒸し暑い夏を含め、1年を通して、家中どこでも快適な暮らしを実現するためにさまざま工夫がなされていることがわかると、内覧会参加が愉しみになってきます。あまり件数はないと思いますが、高齢者用のバリアフリーの仕様も尋ねてみると、そのメーカーがどの程度高齢者に配慮して取り組んでいるか、わかると思います。

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