高齢者の生活防衛資金

日本銀行は6月15・16日の金融政策決定会合で、政策金利を従来の0.75%程度から1.0%程度に引き上げる追加利上げを決定しました。こうなると、通常は株価は下がるものですが、株式市場ではすでに織り込み済みで、6月16日の日経平均株価は取引時間中に史上初めて7万円台に乗せました。一方、米イランは戦闘終結で合意と報道され、世界株式も上昇し、オルカンなどインデックス投資の含み益は順調に増えてきています。年金受給者でも少しでも投資に回しておけば、その分恩恵が得られるのはたいへんありがたいことです。そんな中、投資を行ううえで決して無視できない生活防衛資金について、収入のほとんどを年金に頼っている高齢者は、どう考えておけばいいのか、あらためて考えてみました。

今回は『AI アウトプットの全技法』(上岡正明著、アスコム)で学んだ Google Gemini の Gem を使ってみました。本書は現役世代の AI 仕事術を扱ったビジネス書ですが、高齢者にとってもたいへん面白い内容となっています。Gem とはよく使うプロンプトをあらかじめ設定しておき、いつでも呼び出して使える機能で、たとえばメールに対する返信内容を設定しておけば、どう伝えるかを簡単に入力するだけできちんとしたビジネスメールを作成してくれるものです。

本書の「技法53 3賢者に意見を聞く」の内容にしたがって、自分だけの賢者を作るルール付きのプロンプトを入力。経済評論家やファイナンシャルプランナーの個人名を入力すれば、AI がそれぞれの人物の思想や考えをネットで調べたうえで回答を出してくれます。

高齢者にとって生活防衛資金とは

まずは、ブラウザで高齢者にとっての生活防衛資金とは、と入力して、Google AI (無料の Gemini)が答えてくれた一般論です。

一般論:

高齢者の生活防衛資金は、病気やケガ、急な家電の故障などに備えるため、生活費の1〜2年分を手元(普通預金など)に確保することが推奨されます。現役世代の3〜6ヶ月分に比べ、収入を増やすことが難しく、医療費や突発的な出費が増えやすいため、より手厚い備えが必要です。

高齢者の生活防衛資金のポイント
目安金額:おひとりさまは1〜2年分、夫婦の場合は生活費の半年〜1年分(約150万〜200万円程度)が目安です。
確保すべき項目:家賃、食費、光熱費、医療費・介護費用のバッファなど。
管理方法:いつでもすぐに引き出せる普通預金や個人向け国債で保有し、投資リスクには絶対にさらさない資金とします。

現役世代との違い
高齢期は年金が主な収入源となるため、予期せぬ支出が発生した際に労働でカバーすることが困難です。また、年齢が上がるにつれて健康リスクや介護リスク、自宅のリフォームなどの不定期な大型出費が増加する傾向があります。

資金確保後の考え方
生活防衛資金を確保した上で、インフレ対策(物価上昇によるお金の価値の目減りを防ぐこと)が必要になります。残りの資金は、リスクを抑えた金融庁のつみたて投資の概要などを活用し、運用に回す分と生活費の取り崩し分に分けて管理するのが一般的です。

上記の内容には引用元も付されていましたが、ここでは割愛しました。この内容をコピーして Gemini Gem の賢者たちに意見を聞いてみました。賢者は実名を入力しましたが、ここでは伏せておきます。

賢者1の回答:

提示されたGoogle AIの回答は、「典型的な、思考停止したFP(ファイナンシャルプランナー)の退屈な大嘘」です。高齢者だからといって、生活費の1〜2年分もの現金をゼロ金利の普通預金に眠らせる必要は、どこを探してもありません。これは親切心の皮を被った「機会損失の勧め」であり、インフレという静かなドロボウに資産を差し出す自殺行為です。
(中略)
純粋な意味での流動性資金(=生活防衛資金)は、高齢者であっても生活費の3カ月分、多くても6カ月分あれば十分です。それ以上のお金を「安心のため」という曖昧な理由で放置するのは、単なる怠慢です。(この後に理由3つを教えてくれましたが、割愛します)

賢者2の回答:

AIの回答は、「教科書的な正論」に終始しており、高齢者の現実を直視していません。 妥協のない本質をズバリ言います。
(中略)
夫婦の場合、2人分の医療・介護リスクが同時に、あるいは連続して発生します。片方が倒れた瞬間、もう片方の生活ペースも乱れ、外食やタクシー代など予期せぬ認知コスト(雑費)が跳ね上がります。夫婦こそ最低「2年分」、金額にして「300万〜400万円」は絶対に手元に置くべきです。150万円では一発の大病やリフォームで消し飛びます。
(中略)
高齢者の生活防衛資金とは、減るリスクを恐れるためのものではなく、「これから始まる資産の取り崩し(投資信託の売却など)を、いかなる暴落時でも絶対にストップさせないための聖域」です。手元に十分な現金があるからこそ、残りの投資資産を暴落時に放置できるのです。

賢者3の回答:

そのAIの回答、全体的にはまともなことを言っているが、一番肝心な「高齢者のリアル」に対する覚悟が足りない。結論から言う。高齢者の生活防衛資金は、「生活費の○年分」という一律の基準で考えるべきではない。病気・介護・リフォームという「人生後半の3大爆弾」の最大損失額をダイレクトにキャッシュで確保するのが正解だ。
インデックス投資を何十年続けてこようが、出口(取り崩し期)で大暴落が来たら、資産寿命は一瞬で縮む。その致命傷を避けるための防衛策として、以下の3点を徹底すべきだ。
(以下、略)

上記のように回答してくれました。三者三様の答え、人物を変えれば、それぞれ異なる答えが返ってくることになります。

個人的には高齢者になって先が見えてきたと感じれば、この先不安が生じないよう、ある程度のキャッシュを確保していくのが適切と思っています。アメリカでは、大学の卒業式で学長が AI の重要性を唱えると、AI がもはや卒業生の就職難の元凶という意味で、卒業生からブーイングが起こる時代になりました。しかしながら、AI といっても前提となる条件やネットの資料次第では内容が正反対になってしまいます。AI がすべて正しいという世界もあると思いますが、人の生き方は個々人で決めていくもの、世の中あまり変わっていないように思います。振り回されないよう気をつけましょう。

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